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近江商人とは

家訓

てんびん棒一本を肩に、汗と埃にまみれて日本各地を行商し、お客様の信頼を得て販路を広げ、やがて豪商へと立身出世した近江商人。近江商人の商家には、家名と家業の永続や繁栄を願い、長年の商いで培った体験や苦労をもとに、商業の心構えや教訓を子孫や店中に伝えた家訓があります。家訓には、「三方よし」の精神に代表されるような商いの心構えが記され、時代を超えて普遍の価値が読み取れます。

「しまつして、きばる」

近江商人の商法は、八幡商人・日野商人・五個荘商人など、活躍した時代や場所により異なりますが、共通するのは遠い地域間の価格差を利用した点です。また、商売相手の利益を優先して考えるために薄利でした。そこで利益を上げるために、他人の嫌がる苦労を進んで「きばり」、長期的にみて経済の合理性を求めたのが「しまつ」です。ケチと誤解されやすい「しまつ」の極意がここにあります。

「奢者必不久」

「奢れる者かならず久しからず」は、五個荘商人松居遊見が座右の銘とし、自分の肖像画に自ら大書し遺訓としました。 豪商で知られた松居遊見でも、表向きは百姓の身分で、商いはあくまで農間の余業でした。その生活はきわめて質素で、手織木綿の衣服を着、常にわらじをはき、粗食で粗末な家に住み、陰徳を積むことを喜びとしました。

「好富施其徳」

「富を好しとし、其の徳を施せ」は、八幡商人西川利右衛門の家訓です。
商売が繁盛して富を得るのは良い事とし、その財産に見合った徳、すなわち社会貢献をすることが重要と説きました。商いが大きくなると共に商人も大きな徳を持った人間へ成長しなければならないとしています。

「三方よし」(さんぽうよし)

近江商人がつちかってきた商いの精神「三方よし」。「売り手によし、買い手によし、世間によし」すなわち、「三方よし」。

その意味は、「商いというものは、売り手も買い手も適正な利益を得て満足する取り引きでなければならない。そして、その取り引きが地域社会全体の幸福につながるものでなければならない」という共存共栄の精神を表しています。

「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」という表現自体は、歴史用語ではなく、近江商人研究においては、昭和63年(1988)ごろ、近江商人研究者の小倉榮一郎氏によって用いられた、近江商人の到達した商いの精神を端的に表した造語です。

江戸時代中期に書かれた本市ゆかりの近江商人の資料の中には、ふる里を遠く離れた他国で商いをする時の心得が記されたものが見られ、表現こそちがえ、「売り手によし、買い手によし」と通じる内容が記されています。

また、当時の近江商人たちが、郷里や商い場などゆかりある土地で、さまざまな「世間によし」を実践したエピソードが伝えられていることから、このころには、後の「三方よし」の精神に到達する考えが、近江商人の里にあったことがわかります。

当館では、「三方よし」という言葉には、他国稼ぎの近江商人が、長い人生経験の中でつちかい、目指した、他者と共に生きる商いの精神がよく表現されており、グローバルな現代社会において、人生を生き抜く重要な知恵のひとつと考えます。次の世代に伝える普遍的な価値のある精神として、広く紹介しています。

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